アニメのカメラワーク
最近のアニメはカメラワークに凝ってるものが多いと思う。
「けいおん」*1に代表される京都アニメーションとかは、最近は凄くカメラワークを意識して作ってる気がする。「境界の彼方」ではめまいショット(ドリーズーム)*2を使ったり、イマジナリーライン*3を意識的に越えたりもしていた。
京アニではないけれど「東京レイブンズ」ではどういった意図なのかは分からないが、冒頭でジャンプカット*4みたいな、ことをやっていたし。
他のアニメでも被写体深度(簡単に書くとピント、フォーカス)を意識した作りとか、レンズフレア*5を入れたり、カメラの画面が割れたり、水滴がついたり、広角レンズの歪み表現なんてこともやってたりする。
アニメは、絵をカメラやスキャナで撮ってコンピューターに取り込んだ物を映像にしているので、本来ならばカメラの位置関係やレンズ、ズーム率はほぼ同じでカメラワークによる影響は殆ど受けないはずなのだが、それを後からわざわざ映像編集ソフト等で付け加えているのでかえって大変だろう。
例えば、アニメではズームの表現は使わず(実写でもズームは滅多に使わないが)、大抵ドリー*6表現で済ませている。レンズの種類やズームの状態によって遠近感の圧縮率が変わる為、一枚で済む背景を数枚に分けて別々に動かすといった手間が余分にかかる事になってしまうからだ。
構図的な物に関してはコンテを描く人の演出、編集能力、撮影知識が必要だ。例えば、俯瞰だと客観的、外から見ている感じ、煽りだと迫力が出るが、状況が分かりずらい、キャラクター達の中に一緒にいる感じが出るや、上手下手の理論*7、イマジナリーラインは越えると分かりずらくなるが、混乱などを表すのには役だたったり、ジャンプカットでは違和感、コミカルさ時間経過を表すなどなど様々な理論があって、こちらも大変だ。
CGアニメでは以前からその特徴上にこういったものを意識して作っている部分もあったようだけれど、これからは「キングダム」とか、「蒼き鋼のアルペジオ」にみられた様な擬似2Dアニメ*8の様なものがテレビで増えていった時に、現実では出来ないようなカメラワークに敢えて実際のカメラの制約を取り込んでバランスよく演出出来るような人材が必要とされてくるんだろうなあ。
実写映画ではもともとカメラを観客に意識させてはいけないというのがセオリーだった、何故なら明らかに作り物だという事が意識されてしまうからなのだけれど、ある時敢えてそれをやる人が出てきて革命が起きた。それを今度は、明らかに絵という作り物だと分かるアニメでカメラを意識させる手法を、逆に実写に近づける為に取り入れているのは、(パロディ的にやっている物もあるが)何だか何重にも錯綜していて面白いなあと思った。
*1:映画が良かった、カメラワークも意識してる感じがする
*2:被写体の大きさを同一のまま、背景の遠近感の圧縮率のみを変える技法
*3:簡単に人物と人物を繋いだ線を考えて、これを越えた事を見せるか、越えずに撮る事によって映像が分かりやすくなる
*4:カットとカットをスムーズに繋げない編集、「東京レイブンズ」では、ほとんど同じポジションのカット同士を間に黒い画面を挟んで繋いでた
*5:光がカメラの絞りの形、六角形とかになる
*6:カメラ自体を動かして前後させる
*7:オカルトだと言う人もいる
*8:CGなのだが日本の手描きTVアニメの絵の様に見せる手法、現在では、一部分又は全てをこの手法で作成している物がある、日本のTVアニメは予算、スケジュール的にこれが主流になっていかざるおえないんじゃないかな