Wake Up, Girls! (TV版) アニメとアイドル
(ここで言う”アイドル”は全て日本のアイドルとする)
”アイドルアニメ”は、大枠で捉えれば上手く棲み分けをしながら
多岐にわたって作られてきたジャンルだ。
そういった中でも、昨今終わりつつ在る、アイドルブームもあってか
アイドル自体を主題にしたアニメが流行のようだ、代表的な物は、
AKB0048(半理想化、プロ、対世界)
アイドルマスター(理想化、プロ、日常)
ラブライブ(理想化、アイドル結成を目指す、対社会)
といった所だろうか。
今放映中のWake Up,Girls!も、その路線であり
もはやアイドルには必要不可欠となった
ドキュメンタリー的な手法を、非現実のアニメで再現するという
メタ的で、倒錯した構造だ。
アニメに出てくる風景は、現実に存在する場所をモデルにしている。
声優は素人からオーディションで決め、彼女達自身も平行して、アイドル?声優?(今の時代では、そういった括りはもはや無意味だが)として売り出すという
現実とアニメが、互いにシンクロする様な仕組みだ。
(しかし、真反対にあたるAKB0048は先見の明があるというか、なんと言うか、秋元さんは、やっぱりすごいなーと思う。)
”アイドル”のドキュメンタリーで難しい所でもあり、面白い所はやはり、
理想化と現実とのバランス感覚だろう。
夢を売る仕事(作品)でありながら現実を見せるという矛盾だ。
逆に、上手くいけば、現代の目が肥えた客を、深く感情移入させることに、これほど効果的な方法はないのだが。
近年では、メジャーな宣伝の方法の一つとして、商品に付随する”いい話”(ストーリー)を売るという、考え方もあるくらいだしね。
初音ミクに代表される、広義でのアイドルとアニメ(理想化)との親和性の高さは、様々な所で論じられてきた。
ところが、どうやら今回のWake Up, Girls!の様な”アイドルアニメ”に
ドキュメンタリー的手法は、相性が悪かった様だ。
そもそもアニメは、絵やキャラデザからして現実との乖離が甚だしい
そこを一度、受け入れさせさえすれば実写以上に
感情移入させられるのが、アニメの強みとも言える。
しかしWake Up, Girls! は、必要以上に現実を意識させてしまう仕組み故に
現実のアイドルと比べられてしまうことが、冷めた目線を呼び込み
感情移入を妨げることになってしまっているのだろう。
既にアイドルが
坊主になったり、恋愛がばれたりする時代の
実写ドキュメンタリーの圧倒的な迫力には、そうそう勝てない。
(アニメーターの役者としての能力とそれを絵に乗せられる表現力、演出、編集、音楽や、オーディション声優の一過性の輝きなどが、重なる奇跡がなければ、無理だろう)
そこと戦う為には、既にやられている圧倒的な理想化もしくは
オーディションで決めた声優を、AKBの様な凄いアイドルへ
実際に作り上げる位しかない。
そして、現実的で差別化も図れるのは、パロディー路線かな、もしかしたら目指すべき所はそこだったのかもしれない。
もし、次に”アイドルアニメ”が作られるとしたら
現代の消費速度の速い社会では
”アイドルアニメ”は、一ジャンルとしての定着をみたと判断され
パロディ(コメディー)路線になっていくのかもしれない。(すでに、このアニメがそうと言えるかもしれないが。)
そして、アイドルアニメはジャンルとしては、終焉していくのだろうなあ。