キルラキル
天元突破グレンラガンの主要スタッフと、今石洋之監督ということで、始まる前から話題になってた。
僕も期待していたんだけど、何故か、あんまり面白くない。
恐らく服の神衣は、権威、権力、責任とか、社会での肩書きの象徴。
そして、それを着る人(人格的な事)と、肩書き的な物それらが、片方だけではなく、互いにバランスが取れた時に、素晴らしい力を発揮する、といった話なんだろう。
テーマは、面白そうだけど、昭和テイストを取り入れる所で、バランスを間違ったのかもしれない。
グレンラガンの時みたいな、とにかくデカイとか、滅茶苦茶光ってるとか、超尖ってるとか、強い歪み、簡略化、誇張された力強い動き、感情がのったような映像、それのみでテーマを描くといった、分かりやすさと、気持ちよさがない。
いちを、偉い人が滅茶苦茶光ってたり、要塞みたいな学校や、皐月様が高い所にいたり、付き従う圧倒的な人とか、難波金満高校の生徒会長、宝田のお金ばら撒きや、反権力組織がヌード、そういった分かりやすい演出は健在なんだけど、映像的に弱い。
やっぱり、昭和テイストを再現するといっても、ポイントポイントで、あのガイナックス(まあ精確にはtriggerって会社なんだけど)的な、気持ちいい動き(動画)とか、見たことない様なエフェクトとか、鮮やかな色とかを、入れってた方がよかったんじゃないかな。
背景はたまに、誇張された動きが入ってたりはする。
町並みは、家々がひとつながりになっているのがあからさまに分かる物を、奥に何個か重ねて、横にスライド、一枚一枚の方向や速さに違いを持たせることで、遠近感やスピード感を出している様で、面白い。
そのせいといった訳ではないのだけれど、町に生活臭や、世界の広がりを感じられない。箱庭的な物や、新房監督、幾原監督の様な無機質、カラフルで、エフェクト多様、スタイリッシュで現代的、デザイン的といった世界感だったらいいんだけど。
こういった泥臭い世界観だと、町の向こう側にも町がある雰囲気がないと、違和感を感じてしまう。でもこれ閉塞感とか抑圧された社会、みたいな演出の一つなのかな。
シナリオ的には、何か間延びした感じになちゃってる。流子が敵に負けるシーンが、何回かあるんだけど、誰かが死ぬわけでもないし、徹底的に打ちのめされるわけでもなく、すぐに復活しちゃうから、激的変化、成長が感じずらい。(四天王との戦いとかは、一話完結にしようとしていた頃の残骸かもしれんが。それにしても、皐月様との関係性とか、色々テンポが悪かったけど)
他には、皐月様は時々下に下りてきて、流子と戦ったりするけど、そんなことせずにずっと上のほうに君臨し続けて、そこをがんばって目指すとか、単純な分かりやすさというのがないのもあるかも。
最大の要因は、流子の父、纏一身の死に関する謎の解明という、大きな目標の動機が、憎しみか、悲しみか、何かは分からないけど、映像で強く描かれてないので感情移入がしずらい事だと思う。
そのせいで、最近は制服の鮮血との友情っていう他のテーマをやってる時に、父親の死の謎っていう、大きな目標が、無くなちゃったように感じてしまう。
マコとの友情もよく分からない。マコはギャグ要員なんだろうけど、締まる所がなくて、ずっとコミュニケーションが成立しないから、訳が分からず、友情に対する説得力に欠けてしまっている。
言葉の端々に少しだけ、人としての魅力が、出てる所があるにはあるけどね。
コメディーとしては、昭和のアニメにありがちな、大雑把な感じとか、危ない表現のパロディーとかが、あって面白い。個人的にはもっと危ないギャグを入れて欲しいけど。
あと、オープニングとエンディングの歌が世界観をぶち壊しにしてると思う。
せっかく昭和アニメのパロディーをやってるんだったら。もっと泥臭くて熱い感じの歌にしてほしかったなー。爽やか過ぎるよ!
最終回にかけては、熱い絵や動き、音楽、などを期待したいんだけど、途中で演出方針を変えているとも思えないなー。
なので、展開や、流子と皐月、針目縫の関係性(恐らくは対等、主従、個人)、人にとって服とは何かといったテーマに対して、どんな答えを出すのかといったところに、期待したい。