アニメについて、思った事を書く 140130

折角アニメ見てるんで、思った事を書いてみる。

ヒーロー  (ネタばれ)

松本大洋の原作は読んでないんだけど、良かった。

間のとり方、時々うつす薄い灰色の空、その何も無い感じ、灰色、灰色、灰色、、、、灰色、灰色、青春時代の空白と憂鬱。無音や波の音、スマイルの鼻歌、抑えめな演出で登場人物の心の動き(独白)が強調される。

圧倒的に其処だけという時間的にも場所的にも物凄く小さい世界、カメラも海岸と体育館、卓球場といった殆ど限られた場所しか映さない。あの場所と時間が浮遊している感じ、リアルタイムではなくスマイル達の人生を俯瞰して見ている。つまり登場人物達の心象風景なんだろう。そう考えると、湯浅監督のスタイルがあってる。イラスト的でないアナログっぽさ。まあ原作がそうなのかもしれないけど。

卓球のシーンが格好良い、絵への感情の乗せ具合、抽象化、画面分割と球のリズム感、音楽、独白が合わさった演出は、very good。ペコは映画版の窪塚洋介の印象が強過ぎた、あの印象は消せなかったが、声優なりのオリジナリティは出てると思う。それでもアニメ版と映画版のペコが同じキャラクターにちゃんと見えるってのは、原作の造詣がそれだけ個性的ってことなんだろうな。

卓球シーンで独白が入る、人生の心情や哲学、自分との対話が描かれて成長していく。

誰の為に打つか。お金、母、女、嫉妬心、焦燥感、責任感でもなく、才能でもない。自分の為に打てる人間が最も強い。しかし、それには才能の有無や性格、交友関係、家庭環境等の資格が必要であるという厳しさ。それぞれの登場人物に、ドラマやテーマがあって重層的で絡み合っている。ウェンガは成長を、アクマは才能を、風間は楽しさを、スマイルは友情を、ペコに見る。

ペコはそれぞれ全員のヒーローなのだ。

それら全ての要因が、純粋さや素直さだけでは語りきれない彼の魅力によって成り立っている。やってる事も言ってる事も王道中の王道、それを圧倒的なオリジナリティでやるという凄さ。

エンディングのエレクトロな曲は映画版からの影響か、挿入歌も電子音を使ったものがあって、個人的には透明感のある高い音と、ノイズの入った安いゲーム機的な電子音は青春の雰囲気と郷愁を呼び起こすので世界観にあってて良かった。

 

原作読みます。